今年の紅白歌合戦で発表された曲目一覧を見て、思わず首をかしげた人も多いのではないでしょうか。AKB48、SixTONES、TUBEといった人気アーティストの名前が並ぶ一方で、「なぜこの曲？」「もっと定番があったのでは？」という声がSNSでも目立ちました。
ただ、紅白の曲目は単なるヒット順や人気投票で決まるものではありません。その年の活動、節目、世代へのメッセージなど、表には見えない背景が必ずあります。だからこそ、毎年「予想と違う」「意外だった」と感じる選曲が生まれるのです。
今回の曲目発表も同じです。AKB48は“今だからこそ伝えたい姿”、SixTONESはグループとしての現在地、TUBEは長年紅白に立ち続けてきたからこその意味を、それぞれの曲に込めています。理由を知ってから見る紅白は、同じ曲でも感じ方がまったく変わります。
この記事では、紅白の曲目が「なぜこの並びになったのか」「なぜその曲が選ばれたのか」を、初心者にもわかるように丁寧に整理していきます。曲目発表にモヤっとした人ほど、最後まで読むと納得できる内容になっています。
曲目発表を見て「なぜこの曲？」と感じた人が多かった理由
今年の紅白歌合戦の曲目発表を見て、真っ先に浮かんだのが**「なぜこの曲なんだろう？」**という疑問だった人は少なくないはずです。AKB48、SixTONES、TUBEといった誰もが知るアーティストが並んでいるにもかかわらず、選ばれた曲は必ずしも“代表曲”や“最大ヒット曲”ではありませんでした。
この違和感の正体は、紅白をヒット曲の発表会として見ているか、一年を象徴する番組として見ているかの違いにあります。多くの視聴者は無意識のうちに、「一番有名な曲」「盛り上がる曲」を期待します。しかし紅白は、単純な人気順で曲目が決まる番組ではありません。
紅白の選曲には、その年の活動内容、節目、世代へのメッセージ、そして番組全体の流れが強く影響します。そのため、視聴者の予想とズレる曲が選ばれることは、実は毎年のように起きています。ただ、今年はそのズレがよりはっきり見えたことで、「意外」「予想外」という声が多く上がったのでしょう。
つまり今回の曲目発表は、違和感が生まれた時点で成功とも言えます。なぜなら、その違和感こそが「この紅白は何を伝えたいのか」を考える入口になっているからです。理由を知ろうとする人が増えたこと自体が、今年の選曲が強く印象に残っている証拠なのかもしれません。
紅白の曲目はどのように決められているのか
紅白歌合戦の曲目は、単純に「その年に一番売れた曲」や「知名度の高い曲」だけで決まるわけではありません。そこには、番組全体の構成やメッセージ性が強く関わっています。紅白は一年を締めくくる特別番組であり、その年をどう総括するかという視点が常に意識されています。
具体的には、アーティストのその年の活動内容や節目、話題性だけでなく、世代ごとの視聴者にどう届くかも考慮されます。そのため、最新曲だけでなく、あえて過去曲や象徴的な楽曲が選ばれることも少なくありません。視聴者全体に向けたバランスを取る必要があるからです。
また、紅白は個々のアーティストだけでなく、番組全体の流れも重視されます。前後の出番との雰囲気や、時間帯ごとの盛り上がりを想定しながら曲目が組み立てられるため、単独で見ると意外に感じる選曲でも、全体の中では意味を持つケースがあります。
つまり、今回の曲目が「予想と違う」と感じられたのは、紅白が持つ役割を改めて浮き彫りにした結果とも言えます。ヒットの大きさだけでは測れない基準があるからこそ、毎年のように賛否が生まれ、話題になり続けるのです。
AKB48はなぜこの曲を選んだのか
AKB48の選曲に対して、「もっと有名な曲があったのでは？」と感じた人も多かったはずです。ただ、今回選ばれた曲は、単に知名度や売上を基準にしたものではありません。今のAKB48が何を見せたいのかという視点が強く反映されています。
近年のAKB48は、全盛期と同じ見せ方をするフェーズではなくなっています。世代交代を重ねながら、グループとしての在り方やメッセージを再定義している途中です。その中で選ばれた曲は、過去の成功をなぞるためのものではなく、現在地を示す役割を担っていると考えられます。
また、紅白という舞台は、ファンだけでなく幅広い世代が視聴します。だからこそ、派手さよりも、グループの姿勢や歩みが伝わる曲が選ばれた可能性があります。初めてAKB48を見る人にも、「今はこういうグループなんだ」と伝える意図があったのかもしれません。
今回の選曲は、懐かしさを狙ったものではなく、現在進行形のAKB48を理解してもらうための選択だったと言えそうです。違和感を覚えた人がいたとしても、それはグループが次の段階へ進んでいる証拠とも受け取れます。
SixTONESの選曲に込められた意図とは
SixTONESの曲目についても、「なぜこの曲？」と感じた人は少なくなかったはずです。勢いのあるグループだからこそ、もっと分かりやすく盛り上がる曲を想像していた視聴者も多かったかもしれません。ただ、今回の選曲には、SixTONESが紅白という舞台でどう見られたいかという意識が強く表れているように感じられます。
SixTONESはデビュー以降、常に“勢い”だけで評価される存在ではありませんでした。音楽性や表現の幅、グループとしての芯の強さを少しずつ積み上げてきたグループです。その中で選ばれた曲は、瞬間的な盛り上がりよりも、今のSixTONESの立ち位置を落ち着いて伝える役割を担っていると言えそうです。
紅白は一夜限りのパフォーマンスでありながら、全国に向けて「このグループはこういう存在です」と示す場でもあります。SixTONESにとって今回の選曲は、派手さよりも信頼感や表現力を前面に出すための選択だったのではないでしょうか。だからこそ、ファン以外の視聴者にも、グループの魅力が伝わる構成になっている可能性があります。
結果として、SixTONESの選曲は、**今後の活動を見据えた“現在地の提示”**とも受け取れます。違和感よりも、「なるほど、こういう見せ方か」と後から納得する人が増えていくタイプの選曲なのかもしれません。
TUBEが今この曲を歌う意味とは
TUBEの選曲については、「定番だから」「夏のイメージが強いから」と受け取った人もいるかもしれません。ただ、紅白という舞台でこの曲が選ばれた背景には、長年活動を続けてきたグループだからこその意味が込められているように感じられます。
TUBEは、流行の最前線に立ち続けるタイプのアーティストではありません。その代わりに、時代ごとの空気や記憶と強く結びついた存在です。だからこそ紅白では、「その年を象徴する曲」というより、視聴者の人生や記憶に重なる曲が選ばれる傾向があります。
今回の選曲も、若い世代に向けた新鮮さというより、長年紅白を見続けてきた層へのメッセージ性が強いと考えられます。一年の終わりに、安心感や懐かしさを届ける役割を、TUBEが担っているとも言えるでしょう。
紅白は世代の違う視聴者が同じ時間を共有する番組です。その中でTUBEがこの曲を歌うことは、「変わらないものがある」という象徴として機能します。派手さはなくても、番組全体を支える重要なピースとして、この選曲が存在しているのかもしれません。
まとめ
今年の紅白歌合戦の曲目発表は、ヒット曲や代表曲を期待していた人ほど、違和感を覚えやすい内容でした。しかし、その違和感の背景には、紅白が「一年を振り返る番組」であり、今の立ち位置やメッセージを伝える場であるという前提があります。
AKB48は現在進行形の姿を、SixTONESはグループとしての現在地を、TUBEは変わらない安心感を、それぞれの選曲で示しました。派手さよりも意味や役割を重視した結果が、今回の曲目に表れています。
「なぜこの曲？」という疑問は自然なものですが、理由を知ることで見え方は変わります。背景を理解したうえで紅白を観ると、今年の選曲は決して的外れではなく、番組全体の流れを支える意図的な構成だったと感じられるはずです。
こーいちの一言
正直、曲目を見た瞬間は「うーん…」と感じました。でも理由を整理していくと、紅白ってやっぱりヒット曲を並べる番組じゃないんですよね。その年、そのアーティストがどんな立場で、どんな役割を担っているのかを見せる場所。そう考えると、今回の選曲はかなり“紅白らしい”。違和感があった人ほど、本番を観終わったあとに印象が変わるかもしれません。
コメント